Roman-Chicはじまる。
「おびさんロード」
高知では大変珍しいスラローム型の道。
ヨーロッパの街角のようなシックで落ち着いた雰囲気に、
公園という感性をプラスしたオープンモール。


スタッフに聞く!

このリニューアルが、一番最初に取り組んだ“街づくり”のお仕事だったんですよね?

はい。開発コンセプトの作成を依頼されたのがきっかけで、街路デザインから設計、工事監修。そしてオープニングイベントおよび通年イベントの企画・実施と、まさに総合プロデュースに携わることができました。


当時、おびさんロードにはどんな課題があったんですか?

一つは「帯屋町」という中心商店街の裏道というイメージがあったこと。また、商品搬入路としか考えていない人もいました。それに加え、帯屋町公園が鬱蒼として危ないという話や、駐輪、電柱等構築物が雑然としているなどの問題点がありました。


大規模なリニューアルに至るためには、問題点の解決はもちろん、しっかりとしたテーマが必要ですよね?

テーマは「景観に配慮した魅力ある街並みづくり」。電線類の地中化・公園の整備・路面のカラー舗装を3つの柱に展開していきました。「時の利」とでもいいましょうか。消費税が導入されたことにより、こういった計画などに対する経費を出してくれる中小商業活性化基金という制度ができていましたし、電線類の地中化についても四国電力さんの方針とうまく合致しました。そして電線を地中化して道をきれいにするなら、帯屋町公園を作り直しましょうと市役所も賛同してくれたんです。同時に、歩行者の妨げになる放置自転車を排除するために、高知市で初めて、公園の地下を利用した地下駐輪場を建設することになりました。これは、高知市でも官民一体となった共同開発事業の最初の事例です。


中心商店街の空洞化が全国的に問題になり始めた頃に、高知では事例のないリニューアルに取り組んだわけですが・・・。

「おびさんロード」のリニューアルは、全国的にはそれほど早いわけではありませんが、高知県内では、いわゆる商店街の近代化において大きな先駆けとなった取り組みといえます。それまでの商店街活性化の3点セットといえば、街路灯の設置、アーケードを作る、路面のカラー舗装だけでしたから。


商店街のリニューアルといえば、先程お話に出たようなお決まりのパターンがある中で、あえてオープンモールや自然を生かしたスタイルを選んでいますよね。商店街組合の方々はどのような意見や考えを持っていたんですか?


アーケード街と異なる個性を持たせるということで、オープンモール化はすでに規定の前提だったんです。アーケードにしようという話は全くなかったし、とにかく南国高知の陽射しを燦々と浴びる明るい街にしようという方針でした。それと特筆すべきは、四国で初めて、これらの事業と同時に「個店改造」事業を導入し実施したことです。「店と街路が一体となってこその景観整備」という理念を貫いて、街並み協定、街並み審査委員会を設けた上で組合員の約60%に当たる店舗が改築・改装を行いました。


当時は、こういった街づくりや開発のお仕事は前例もないし、広告センターとしても未知な部分だらけだったはずです。当然、いろいろな苦労があったと思いますが・・・

まず、商店街の方々と熊本の「並木通り商店街」など全国の先進的な街を視察しました。そこで学んだことは、オープンモール化する時に大切になってくるのは道路の線形だということ。線形にしても平行型やクランク型やスラローム型などいろいろあるわけです。それぞれの形態がどのようなメリットを持っているか、そういったことから研究しました。
電柱を地中化できたこともあり、車と歩行者との分離、人に優しい道づくりの観点から、車道をなだらかなスラローム型の道にして車の速度を落とさせる工夫をしました。デザイン面は広告センターの通常業務の延長線上にあるので、事例研究を重ねることによって比較的容易にクリアーできました。
しかし土木に関しては、開発ステップを何も知らなかったので、自分の中で完成までのストーリーが見えてこないので困りました。また“行政折衝”という分野もまったく未経験の領域でした。道路一つ作るにしても、市役所の商工・道路・交通・水道関係等のいろいろな部署と連絡を密にとって、可能性を探ったり、許可を取ったり、申請をしたりしなければならない。同様に消防や警察とも協議が必要です。全てを手探りの状態でやっていたんですが、市役所の中に広告センターという名前が通っていたおかげで、それぞれの担当の方に親切にしていただけました。本当に助かりましたね。


デザインから工事、行政折衝が進行していくのと同時に、商店街の中での意識や意見のとりまとめも大変だったんじゃないですか?


先進事例でもそうですが、街づくりとなると必ず理解していただけない方が出てくるものです。資金は国・県・市から補助が出ますが4割は国からお金を借りて、15年かけて返済していくわけです。したがって、地権者の95%以上の同意がないと事業は成り立ちません。しかし「おびさんロード」の場合、理事長をはじめとして、理事・事務局の熱意と結束力がきわめて大きかったこともあり、比較的スムーズに進んでいきました。


「おびさんロード」の開発をするに当たって描いたコンセプトを教えてください。

リニューアルコンセプトは「街で遊ぶ」・「街を遊ぶ」。自分がその街を訪れるお客さんだったら、どんな街がうれしいか?そういった観点から生まれました。とにかく、この街に来たら自分が主人公になれる、歩いて楽しい、2つの道があったらこっちの道を歩きたいと思うような街づくり・道づくりを提案しました。



「おびさんロード」のアピールポイント、ここを見て欲しい!という所は?

やっぱり美しい曲線を描いたスラローム型の道です。また、50年、100年後に残る道にしようということで、高知によく似た南欧の街並みをヒントに、とにかく本物の素材と自然にもこだわっています。歩道はイタリア産の御影石。車道は御影石ピンコロ。街路灯はドイツ製です。道幅が狭いので、街路樹は上に伸びるケヤキを探してきて植えました。それにケヤキは落葉樹なので、すごく季節感が出ます。細部のディテールにまでこだわり、小物ひとつに至るまでの気配りは並々ならぬものでした。大きかったのは、市の了解が得られてベンチを置けたことです。これによって、訪れた人々が留まれる場所ができました。ただの通行路ではなくて、そこで買ってきた物を食べたり、のんびりとひなたぼっこをしたり、お店のディスプレイを眺めたり。そういった時間を過ごす楽しさを付加できたのではないでしょうか。


では最後に、「街」についてのあなたの想いを、存分に語ってください。


私たちは、ただ街づくりのお手伝いをさせてもらったにすぎません。結局は、その街の人々の熱意が全てです。熱意の質と総量に比例していい街ができる。これは、間違いないようです。世界のどこにでも、その都市固有の街があります。ここ十年来、郊外に大型店が進出したことでお客さんの流れが変わり、中心商店街は衰退しているのが現状。しかし、その都市の歴史や文化を反映した昔からの街並み、そして商店街を絶対に潰してはいけないと思います。
中心商店街というのは、市民にとって一つの晴れの場。自分が楽しむため、ウキウキするため、そして期待を持って人々は街にやってきます。これからまた街づくりのお仕事に関わることがあれば、ただのハードを作るのではなく、ハードそのものがソフトでもあるようなものを作るお手伝いができればいいですね。
なんか偉そうなねぇ〜(笑い)。

 


おびさんパンフレット


カラー舗装化


帯屋町公園の整備


電線類の地中